栄養の基礎知識
栄養素の働きと役割
☆ 炭水化物
炭水化物(糖質)・脂肪・たんぱく質は、「三大栄養素(三大熱量素)」と言い、生命の維持・成長に必要なエネルギーを供給し、身体の構成素となる栄養素です。
炭水化物は、単糖が多数結合したもので、糖質と食物繊維に分類されます。炭水化物には、 1 〜数個の単糖が結合した「単純炭水化物」と、多数の単糖が複雑に結合した「複合炭水化物」があります。
摂取された炭水化物は、消化酵素の働きにより単糖類へ分解された後、小腸から吸収されます。小腸より吸収された単糖類は、血液によって肝臓や筋肉組織に取り込まれ、グリコーゲンとして貯えられたり、アミノ酸の合成材料となったり、ブドウ糖(グルコース)として脳をはじめ身体全体に運ばれます。糖質はエネルギー源として 1g 当たり4 kcal ですが、余分にとると脂肪に代えられて体に蓄積します。
☆ たん ぱく質
たんぱく質は身体を構成する細胞質の主成分です。人の身体は、体重の 50 〜 60% が水分ですが、これを除いた乾燥成分の 30 〜 40% がたんぱく質です。筋肉・爪・皮膚・臓器・毛髪・血液・酵素・インシュリン・脳下垂体ホルモン・免疫抗体・遺伝子など、様々な部分を構成しています。また、たんぱく質は、エネルギー源としても利用されます。たんぱく質 1g あたりのエネルギーは 4kcal です。
☆ 脂 質(脂肪)
脂質は、細胞膜・血液・ホルモンなどの原料となり、ビタミンA・D・Eなどの脂溶性ビタミンの吸収を助けます。また、 1g あたりのエネルギーが 9kcal と高カロリーで、エネルギー源として使われます。脂肪の中には、体内で合成されない「必須脂肪酸」というものがあり、リノール酸は最も重要な必須脂肪酸で、特に幼児の成長・発育に重要な働きをします。また脂肪酸は、血圧や血液凝固、炎症や他の体の機能のコントロールを助けます。
☆ ビタミン類
ビタミン・ミネラルは、これが無いと生命が全きを保つことができないため、「保全素」と言い、生命が円滑な代謝を営むのに必要な微量成分です。これらを総称して「五大栄養素」と言います。三大栄養素(たんぱく質・脂肪・炭水化物)をエネルギーや身体の構成分として利用するためには、分解して化学反応を起こさなければなりません。これを「代謝」と言います。この代謝を促進する役割をするのが「酵素」です。ほとんどのビタミンは、この酵素のうち体内で合成不可能な「補酵素」であり、不足すると代謝が滞ってしまいます。体内では合成できないため、食事から摂り続ける必要があります。またビタミンはそれぞれが相互作用によって働きますので、バランスよく摂る必要があります。
ビタミンには脂(油)に溶ける脂溶性ビタミンと、水に溶ける水溶性ビタミンがあります。
● 脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)は、摂取しても使い切れなかった分は翌日以降に持ち越されますので、摂りだめがききます。しかし、大量に摂ると過剰症になる場合もあります。これらのビタミンは油に溶けて吸収されやすくなるので、野菜などは炒めたり、揚げたりすると効果的です。
● 水溶性ビタミン(ビタミンB群、C)は、大量に摂取しても水溶性のため、体内に排出されるため、摂りだめがききませんので、必要量を毎日摂ることが大切です。特に加熱調理による損失も大きいので、蒸したり、レンジ加熱したりすると短時間で調理できるので調理損失が少なくてすみます。
■ ビタミンAの働き ----- ビタミンAは視覚機能に関係する物質で、欠乏とする夜盲症(トリ目)になります。 急に暗い場所に入ったとき、目が暗さに慣れるまでに長く時間がかかるのは、ビタミンA不足の初期症状です。またビタミンAは目・気管・皮膚などの粘膜の形成・機能にも関係しています。 そのためビタミンAが不足すると、結膜炎やカゼにかかりやすくなったり、皮膚がカサカサになったりします。緑黄色野菜に含まれている体内でビタミンAに変わるのがカロテンといい、うなぎなどに含まれてるものがレシチンです。
◆ ビタミンAが多く含まれる食品
うなぎ、肝油、チーズ、バター、牛乳、卵黄、緑黄色野菜(モロヘイヤ、にんじん、かぼちゃ、ほうれんそうなどの青菜類)、みかん、のりなど。
■ ビタミンB 1 の働き ----- ビタミンB 1 は、糖質が燃えてエネルギーとなるときに不可欠です。穀物・砂糖・アルコール類を多くとる人は、B 1 も多めにとる必要があります。B 1 の欠乏症は ” 脚気 ” です。 現在の日本では本格的な脚気はきわめてまれですが、偏食によってだるさ・むくみなど潜在的な脚気症状が出ることもあるので注意が必要です。
◆ ビタミンB 1 が多く含まれる食品
酵母、肝臓、肉、胚芽、豆、玄米、チーズ、牛乳、緑黄色野菜など。
■ ビタミンB 2 の働き ---- ビタミン B2 には成長促進作用があるので、とくに成長期には充分とることが大切です。また、B 2 には食欲に関係するほか、口・皮膚 ? 口腔などの粘膜を正常に保つために必要です。B 2 が不足すると目の異常や口角炎、口内炎などが起ります。
◆ ビタミンB 2 が多く含まれる食品
酵母、肝臓、肉、卵黄、緑黄色野菜など。
■ ビタミンB 6 の働き ----- ビタミンB 6 はたんぱく質の代謝に重要な役割をはたしています。 B6 の欠乏症は人間ではまれですが、目・口・耳・鼻の周囲に皮膚炎が起ります。ほかに、貧血、むくみ、末梢の神経炎などが起るともいわれています。
◆ ビタミンB 6 が多く含まれる食品
酵母、肝臓、肉、卵、乳、魚、豆など。
■ ビタミンB 12 の働き ----- ビタミンB 12 はたんぱく質の代謝に関係するほか、血液中にある赤血球が作られるときに必要です。 ビタミンB 12 が欠乏すると赤血球を作るしくみがうまくいかず、 “ 悪性貧血 ” になります。
◆ ビタミンB 12 が多く含まれる食品
肝臓、肉、魚、チーズ、卵など。
■ 葉酸の働き ----- 葉酸はたんぱく質やたんぱく質の構成成分であるアミノ酸の代謝に関係しているビタミンです。 とくに妊娠期には多く必要となることが知られています。 葉酸が欠乏すると ” 巨赤芽球貧血 ” がおこります。 これは、赤血球が通常の成熟した形でなく未熟なまま血液中にあらわれて貧血となるものです。
◆ 葉酸が多く含まれる食品
酵母、肝臓、肉、卵黄、胚芽など。
■ ビタミンCの働き ----- ビタミンCの欠乏症は体の各部から出血する ” 壊血病 ” です。 ビタミン C は細胞と細胞をつなぐコラーゲンというたんぱく質の合成に関与しているため、不足すると血管壁の結合がゆるんで出血します。 歯ぐきから出血しやすくなったらビタミン C 不足の危険信号です。 この他にもビタミン C には、日焼けや皮膚の色素沈着を防ぐ、鉄の吸収を助ける、免疫のしくみを正常に保つなど、幅広い働きがあります。 さらに、ストレスを多く受ける人、タバコをよく吸う人は、ビタミン C の必要量が増すことがわかっています。最近の研究では、がん予防にビタミンCが効果的という疫学調査結果も出されています。
◆ ビタミンCが多く含まれる食品
いちご、キウイ、みかん、緑黄色野菜(モロヘイヤ、こまつな、かぼちゃ)、キャベツ、きゅうり、だいこんなど。
■ ビタミンDの働き ----- ビタミンDは、カルシウムの吸収・沈着が正しく行われるために必要です。 乳幼児期に不足すると背骨や足の骨が変形したり、頭の骨が薄くなる ” くる病 ” に、大人で不足すると骨がもろくなり、変形して痛む ” 骨軟化症 ” になります。 とくに妊産婦や高齢者はビタミンD不足におちいりやすいので要注意です。
◆ ビタミンDが多く含まれる食品
肝油、魚、卵黄、しいたけ、酵母、緑茶など。
■ ビタミンEの働き ----- ビタミンEは妊娠・出産と関係の深いビタミンとして発見されました。ビタミン E には末梢血管を拡張し、血液循環をよくする働きもあります。冬、しもやけや冷えに悩まされる人は、ビタミン E の補給を心掛けるとよいでしょう。 さらに、最近とくに注目されているのがビタミン E の抗酸化作用です。体内で脂肪が酸化すると老化や動脈硬化を進める有害物質ができますが、ビタミンEを充分とっておけば、これを防ぐことができるのです。
◆ ビタミンEが多く含まれる食品
植物油特に胚芽油、大豆、穀類、豆、緑黄色野菜など
■ ビタミンK ----- ケガなどで出血したあと、血液が固まって血が止まるためには ” プロトロンビン ” という物質が必要です。ビタミンKはこの物質の生成に重要な役割をはたしています。 そのため、ビタミンKが欠乏すると出血しやすくなり、臓器内や皮下での出血もみられるようになります。
◆ ビタミンKが多く含まれる食品
肝臓、緑黄色野菜など。
■ ビタミンのかくれた欠乏が心配 ■
◎ 疲れ、だるさ、眠気などの症状は B 群ビタミン不足
ビタミンB 1 、B 6 、B 12 、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸などの神経の働きを正常に保つ働きをしています。これらが不足すると、上の症状のほか、集中力の低下、やる気がでない、憂鬱などの症状が現れます。
◎ アルコールをよく飲み、偏食する人は不足しやすい
大量に飲酒し、食事を十分にとらないと、たんぱく質やビタミンB 1 、B 2 、B 6 、B 12 、 葉酸、ニコチン酸などが不足しがちです。また、アルコールには、ビタミンB 1 の吸収を阻害する作用があるので、飲酒によって二重の意味で不足しやすくなります。
◎ 肌荒れや口内炎はB群不足の危険信号
ビタミンB 2 、B 6 、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸は、皮膚や爪、髪の毛、粘膜などを正常化する働きがあります。湿疹ができやすい、爪がもろい、口内炎ができやすいなどの症状は、これらのビタミンが不足している危険信号かもしれません。
◎ 糖尿病や妊娠中の人は十分に補給を
糖尿病患者は、ビタミン B12 が吸収されにくくなります。神経障害を合併する場合は、B12と一緒にB1、B6を補給すると症状が改善することがあります。またビタミンB 6 は妊娠糖尿病を予防します。ビタミンB 6 は妊娠中に必要量が増加するので、不足しないようにすることが大切です
。
◎ 高齢者ほど気をつけて B 群ビタミンの補給を
高齢者になると食事量が少なくなるため、B群ビタミンではビタミンB1、B2、B6、葉酸、ナイアシンなどが不足しやすくなります。ビタミンB6と葉酸には骨を健康に保つ働きがあります。これらを十分にとりたいものです。
☆ ミネラル(無機質)
ミネラル(無機質)とは体内で合成されない微量元素のことで、栄養学上では食物から摂取する必要のある必須元素のことを「ミネラル(無機質)」と呼びます。有機質は、酸素・炭素・水素・窒素を含む化合物で、人体を構成する 95% ほどが有機質からなっています。無機質は、有機質以外の部分で、人体を構成する 5% ほどが無機質からなっています。ミネラル(無機質)の中でも、人体に比較的多く存在するものを「準主要元素」と呼び、残りの無機質は「微量元素」と呼んでいます。
カルシウムとリンは骨の構成成分となり、鉄は血液の成分として酸素の運搬にかかわっています。カリウムやナトリウムは陽イオンとなって体液の浸透圧の調節を担っています。その他の元素は、酵素の要素などとして働いています。
無機質の中で不足しやすいものはカルシウムと鉄です。特に成長期にカルシウムの摂取が不足すると、高齢期になって骨がもろくなったり骨粗しょう症にかかりやすくなります。また、リンを摂取し過ぎるとカルシウムの必要量が増えるため、カルシウム1に対して、リンが2を超えないことが望ましいので、特にインスタント食品を摂取する機会の多い人は極力カルシウムを摂るよう心がけましょう。
ただし、無機質は過剰に摂取すると過剰症を引き起こすものもあるので食事摂取基準の上限が定められていますが、基準値が所要量の4倍以上のため、錠剤などで必要量を超えて摂取しすぎない限りカルシウムの摂りすぎは問題がありません。
ミネラル(無機質)の生理的機能は大きく分けると「体構成分」と「体調節機能」に分かれます。
■ 体構成分
・骨や歯など、硬い組織の構成分
・細胞膜に含まれる核酸など、柔らかい組織の構成分
・その他、体組織に必要不可欠な成分の構成分
■ 体調節機能
・体液の浸透圧を正常に保つ
・筋肉の働きを正常に保つ
・体液の pH を微アルカリに保つ
・その他、体機能に必要不可欠な役割
☆ 食物繊維
食物繊維は栄養素ではないが体内いろいろな働きをするため、第6の栄養素といわれています。食物繊維とは、 _ 人の消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体 _ と定義されています。また、食物繊維はブドウ糖が結合した糖質の一種で、 β- ブドウ糖で構成されています。
食物繊維は食べ物のカスで、ダイエタリー・ファイバーとも呼ばれ、人の消化酵素では分解されず、便とともに排泄され、エネルギー源としては役に立たないのです。しかし食物繊維は健康維持に重要な役割があり、脂肪性食品の多い現代人の食生活には、欠くことができない重要な栄養素なのです。
☆ 食品の機能性
健康増進に積極的に寄与する食物の働きについて注目をあびるようになったのは、ここ 10 年くらいのことです。それまでは、食物と健康との関係は、栄養という概念でとらえられていました。しかし、文部省の特定研究「食品機能の系統的解析と展開( 1984 〜 1986 年)」の中から生まれた考え方です。
この特定研究で注目されることは食べ物の一次機能(栄養素:身体に対する栄養素の働き)、二次機能(美味しさ:感覚器官に対する香味成分の働き)からすすんで、三次機能(生体調節機能)が提唱され、その機能として、疾病の予防からその回復までも期待することが可能となりました。
食事や食習慣はライフスタイルの中で、健康に大きくかかわっています。例えば、最近の疫学調査によると、がんの予防が事前に可能であるといわれています。また、高血圧や脳卒中になりやすい遺伝素因がある人の場合でも毎日の食事の摂り方に気をつけていれば、脳血管疾患を予防できるなど、食べ物・食生活はがんや老化をはじめとする生活習慣病の予防に大きな役割を果たしています。
生体のいろいろな系統を特異的に調節する食品成分の発見から調節メカニズムの分子レベルでの解明などの成果があがりました。それによって疾病の発症を未然に防ぐよう設計された新しい食品「機能性食品」の研究開発も始まって、アレルギー低減化、カルシウム吸収促進、腸内細菌の調節(ビフィズス菌増強)、免疫増強、神経調節、血圧降下、コレステロール低減化などの開発が盛んに行われています。
1) 大豆
ア.大豆のがん発症抑制効果
疫学調査から、味噌汁を多く飲む地域で、がんが少ないことが判明しているが、その理由の一つは、味噌汁の具の野菜から摂取する食物繊維であるが、大豆自身にもがんの発症抑制効果があることが判明している。その機構は未だ解明されていないが、一つは、大豆に含まれるイソフラボンであるとされている。イソフラボンは、女性ホルモン(エストロジェン)類似の作用があることから、乳がんや前立腺がんの発症抑制効果があることが推定されている。
イ.イソフラボンの循環器疾患低減効果
大豆のイソフラボンが、循環器系の改善にも役立つことが報告されている。イソフラボンを摂取することによって、血圧低下と、コレステロールレベル低下が観察された。
ウ.大豆サポニンの活性酸素消去作用
生体中には、活性酸素を消去する機構が備わっている。また、食品にも、活性酸素を消去することができる物質が存在している。その代表が、分子中に複数の水酸基をもつポリフェノール類である。特に大豆に含まれるポリフェノール類として、大豆サポニンが最も活性が高いことが実験で明らかになっている。
2) 茶
ア.茶ポリフェノールの血圧低下作用
茶に含まれるポリフェノールには、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、テアフラビンなどがある。これらの、大腸菌O−157をはじめとした殺菌作用が近年話題になったが、同時に、血圧低下作用もある。その機構は、アンギオテンシン変換酵素の活性阻害である。
イ.茶ポリフェノールの発がん抑制作用
マウスに茶ポリフェノールを与えて、乳がんの発生率の低下を認めた報告がある。茶ポリフェノールは生体内でもがん抑制効果が観察されている。
3) 魚介類
1)魚介藻類中の機能性成分
ア.タウリン
タウリンは、タンパク質に含まれているアミノ酸と化学構造が良く似たもので、イカやタコなどに多く含まれています。タウリンは肝臓で行われているコレステロールの分解を促進することによって、血液中のコレステロールを下げたり、心臓病や脳卒中の予防に役立つとされています。
イ.ミネラル類
日本人に不足していると言われているカルシウムは、小魚のつくだ煮、煮干し、たたみいわしなどに豊富に含まれています。これらの魚介類の加工品は骨の病気の予防に適して
います。鉄はホッキ貝やバイ貝などの貝類に多く、女性に多い鉄欠乏性貧血の予防に役立つ。亜鉛は特にカキに多く含まれており、味覚の維持や発育に必要なだけではなく、生殖機能を保つ上でも必要とされています。リチウムやヨウ素は海藻類に豊富に含まれています。リチウムは気力維持やうつ病の治療にヨウ素は甲状腺機能の維持や甲状腺腫の予防に効果的とされています。
ウ.EPA(エイコサペンタエン酸)の機能性
EPAはDHAと同様にまいわしやまぐろ(脂身)、さば、ぶり、さんま、うなぎなどの魚類に豊富に含まれています。中でもまいわしはDHAよりもEPAの含有量が多くなっています。水中でも生活するオットセイ、アザラシ、トドなどの海獣類やウミヘビなどの脂肪にも豊富に含まれています。しかし、DHAと異なり、EPAは動物やヒトの脳や網膜にはほとんど含まれていません。
EPAは血栓を予防する効果があり、血栓はいろいろなことが原因で血管の内側に傷ができ、そこに血小板が異常に付着してできます。血小板を血管の傷に付着しやすいトロンボキサンA 2 と付着しにくくするプロスタグランジンI 2 やI 3 とのバランスで血栓かできやすくなったり、できにくくなったりします。EPAを多くとるとアラキドン酸が減って、トロンボキサンA 2 とプロスタグランジンI 2 が減り、プロスタグランジンI 3 が増えるため、結果として血小板が付着しにくくなります。そとて血栓ができにくくなるわけです。
エ.DHAの機能性
DHAは数年前から “ 頭の働きを良くする ” ということで注目されている高度不飽和脂肪酸です。DHAはEPAと同様魚介類及び海獣類やウミヘビなどの脂肪に豊富で、特に回遊性の魚や大型の魚に多く含まれています。しかし、植物や動物の筋肉には、ほとんど含まれていません。ところが陸上の動物でも脳、網膜、精巣などにはDHAが豊富認められていません。DHAはEPAと同じように、非常に良く吸収され、血液中に入り多くの臓器に取り込まれています。DHA及びEPAを実験動物に食べさせて、その血液や脳の中のDHAを調べた結果これらの脂肪酸すべては血液や脳のDHAを増やすことが可能であるが、血液や脳のDHAを増やすためには、DHAそのものを食べるのが一番効率が良いということが明らかにされています。しかし、血液中に α −リノレン酸やEPAが多くあっても、脳の中では α −リノレン酸やEPAはほとんど認められていない。このことは脳ではDHがA必要なため選択的に取り込まれていることを示しています。
ヒトの脳の発達とDHAの関係については、未熟児での研究が最初に行われていますが、正常出産児の脳の発達にもDHAが重要な役割を演じており、妊婦や授乳婦はDHAを適量とることをすすめています。
また、魚介類を毎日食べている人の方がアルツハイマー型の痴呆症になりにくいことが疫学研究で明らかにされています。魚介類に多いDHAが関係していることが考えられ、老人性痴呆症の予防や治療効果が期待されています。
さらに、DHAは目の網膜にも関与して、網膜機能の維持に必要であると考えられています。大腸ガンや乳ガンの発生を防ぎ、増殖を抑え、転移を防ぐ効果があると動物実験で明らかにされています。抗炎症作用があるためアレルギーの炎症疾患(アトピー性皮膚炎、花粉症など)の予防や治療に有効であるというデータが報告されてまいす。この理由もEPA同様でアラキドン酸から作られる炎症促進物質であるロイコトリエンを少なくすることにあると考えられます。
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